「スマホで簡単」のよくあるワード。何度撮影しても動画の“手ブレ”が消えなかった、ある社長のエピソード

「今のスマホなら、ルームツアー動画は簡単に撮れる!
そう書いてあったから、信じて挑戦してみたんだけどね……」

そう笑いながら言った、ある地域密着の不動産会社の社長さん。

その社長さんのスマホは、2年前に「仕事でガシガシ使うぞ!」と10万円近く投資した、カメラレンズが3つ付いた高級iPhone。当時の最高峰モデルです。

なのに、、、その最強の相棒で撮影された室内動画を見せてもらったところ、申し訳ないけれど、ちょっと酔っちゃいました(笑)。

ハッキリ言って、これをインスタにアップすると信頼ガタ落ちです。。。

「ウチにもできる!」と挑んだ動画撮影

その社長さんの会社でもインスタを始めており、これまではその愛用のスマホで綺麗な「写真」をアップしていました。しかし、最近はどうも周りの「ルームツアー動画」の勢いに押されていると感じていたとのこと。

他社の投稿を見ると、おしゃれな音楽に乗せて、画面がスーッと滑らかに動き、まるで自分がその部屋を歩いているかのようなリアル感があります。しかも、そこには「#スマホ撮影」というハッシュタグが。

「なんだ、特別な機材なんていらないのか。ウチの10万したiPhoneなら、もっと綺麗に撮れるはずだ!」

そう確信した社長さんは、梅雨の合間の貴重な晴れの日に初の動画撮影をしました。
物件は新しく売り出すことになった「2階建ての中古住宅」です。

部屋のなかで、汗だくの「忍者」になる

締め切られた部屋の中は、サウナ状態。湿度はマックス、気温も急上昇です。エアコンも使えない室内で、撮影を開始してすぐに、社長さんは体中汗びっしょりになったそうです。

しかし、ここでおじけづくわけにはいきません。ネットで事前に調べた「スマホ動画、ブレない方法」を忠実に実践しました。

  • スマホを両手でしっかり持ち、脇をガッチリと締めて体幹で固定する
  • 膝を軽く曲げ、重心を低くして、忍者のように『すり足』で静かに移動する
  • 息を止め、手首ではなく腰の回転でゆっくりとカメラを動かす

梅雨の蒸し暑さのなか、50代の社長さんが一人、ネクタイを少し緩め汗をダラダラと流しながら、スマホを胸元に構えてじわじわとすり足で歩く姿。通りがかりの人が窓から覗いたら、間違いなく一発で警察に通報されるレベルの不審者スタイルです。

汗が目に入りそうになるのを堪え、呼吸を止め、1階のリビングからキッチンへと、すり足で撮影。
途中、「ON」になっていないのに気づき再度、玄関から。。。

最大の難所「2階への階段」

ただでさえ、すり足のポーズを維持して足腰がガクガクしている状態です。そこから、カメラを水平に保ったまま階段を上るというのは、もはや筋トレ以外の何物でもありません。

一段、また一段と階段を上りきり、なんとか2階の部屋まで撮影を終えたそうです。ワイシャツは色が変わるほど汗で張り付き、達成感と疲労感でその場にへたり込んだと言います。

「よし、撮影は終わった。早速、見てみようか!」

事務所に戻り、パソコン画面で再生ボタンを押しました。 ……結果は、悲惨なものでした。

1階のリビングは社長さんの努力の甲斐あって、多少は良かったそうです。しかし、問題はあの「階段」でした。
画面が上下左右に激しくシェイクされた映像になっていたのです。手ブレ補正はもちろん「ON」にもかかわらずです。

あまりの激しい揺れに、社長さん自身、「こりゃ、だめだ!!」と感じたそうです。

これだけ半日をかけて汗だくになり、筋肉痛と引き換えに手に入れたのが「このルームツアー動画」という切ない現実に、社長さんはすっぱりと自社撮影を諦める決意をしたのだそうです。

「スマホで簡単」という言葉の裏にある現実

ネットの記事やSNSでは、よく「スマホ一台で、簡単にルームツアー動画が撮れる!」なんて手軽さが強調されていますよね。

しかし、その社長さんのエピソードを聞いて感じたことは、「撮れること」と「お客様に見せられるクオリティであること」の間には、深い溝がある、ということです。

他社がアップしているあの滑らかな動画の裏には、実は数万円する電動スタビライザー(ジンバル)を使いこなす技術があったり、撮影センスがある若いスタッフが、何度も撮り直して気が遠くなるような編集を重ねていたりするケースがほとんどなのだそうです。

本業の追客や管理業務、お客様対応をする小さな不動産会社の社長さんが、真夏のような室内で「忍者」のように階段を上り下りしている時間は、本来どこにもないはずなのです。

経営者として、本当に大切な時間とは

結局、その社長さんは動画の自社撮影をやめ、これまでの「三脚を使った、ブレのない写真」を丁寧に撮るスタイルに戻したそうです。

餅は餅屋。できないことに貴重な時間と体力、そして大量の汗を奪われるくらいなら動画撮影はプロに任せるか、あるいは自社の強みが一番活きる方法を外から取り入れたほうが、結果的にコストパフォーマンスが良い。
それが、社長さんが身をもって得た教訓だったそうです。

もし、今この記事を読んでいる社長さんの中で「周りが動画をやっているから」とスマホを片手に汗だくで階段を上っている方がいたら……。

そのエピソードを私に教えてくださいっ!!(笑)

「できないことは、自分でやらない」 それもまた、忙しい経営者が会社と自分の体力を守るための、立派な戦略の一つなのかもしれません。

最後に…

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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