【猛省】その場で契約破棄、ある不動産会社社長の社員に言えない失敗談

今回の登場人物、不動産会社を2店舗を経営している40代社長。
まだ社員にも誰にも打ち明けていない、思い出すだけで胸が締め付けられるような「痛恨の失敗」。
それは物件の知識不足でも、契約書のミスでもなく、たった一言の「言葉の選び方」で全てを台無しにしたエピソードです。

順調だった関係なのに…

そのお客様とは、半年近くのお付き合いでした。 非常にこだわりの強い方で、何度も打ち合わせを重ね、2店舗あるうちの両方のエリアをまたいで物件をご案内しました。

「社長さんは本当に話しやすいね。他の不動産屋さんはどこか壁があるけれど、あなたには何でも相談できるよ!」

そんな風に言っていただき、私もどこかで「このお客様とは、信頼関係が完全にできている」と過信していました。事務所に戻れば、8名の社員たちを前に「信頼を勝ち取るには、懐に飛び込むことが一番だ」なんて、得意げに語っていたほどです。

契約直前、心の緩みが招いた「一言」

そして迎えた、契約前日の最終確認。 場所は少しリラックスした雰囲気のカフェでした。
お互いに冗談を言い合えるほど打ち解けていたこともあり、私は知らず知らずのうちに、プロとしての「一線」を越えてしまっていたんです。

お客様が、最後のごく小さな懸念点――「キッチンのコンセントの位置が、やっぱり数センチ気になるんだよね」というお話をされたとき、私はあろうことか、笑いながらこんな風に返してしまいました。

「あぁ、そんな細かいこと、住んでみたら全然気になりませんよ!〇〇さん、ちょっと神経質になりすぎじゃないですか(笑)。私を信じて任せてくれれば間違いないですから!」

その瞬間、お客様の顔からスッと血の気が引くのがわかりました。 一瞬の沈黙。その後、お客様は静かにこうおっしゃいました。

「……社長さん。私にとっては一生に一度の、必死で貯めたお金で買う家なんです。それを『細かいこと』で済まされるのは、あまりに失礼じゃないですか?」

崩れた砂の城

そこからは、どれだけ言葉を尽くして謝罪しても、失った信頼は戻りませんでした。
お客様にとっては、人生をかけた数千万円の買い物です。その緊張感のなかで勇気を出して吐露した不安を、私は「親しさ」を免罪符にして、笑い飛ばしてしまったのです。

翌日、届いたのは「契約は白紙にしたい」というメールでした。

半年間の努力、社員たちが準備してくれた膨大な資料、そして何よりお客様と築いてきたはずの時間が、私のたった一言の「言葉の甘さ」で砂の城のように崩れ去ったのです。

40代後半、ベテランだからこそ危ない「心のぜい肉」

今回の件で痛感したのは20年以上のキャリアがあり、2つの店舗を経営する立場になった今、私の心には「ぜい肉」がついていたということです。

30代の頃の私は、もっと必死でした。 一組のお客様を逃せば会社が傾くかもしれないという危機感があり、言葉の一つひとつに神経を尖らせていました。しかし40代後半になり、ある程度の成功体験と「8名もの社員が自分を慕ってくれている」という自負が、いつの間にか私の謙虚さを蝕んでいたんです。

経営者という立場は、実はとても孤独で、危ういものです。
8人の社員たちは、社長である私に気を遣います。たとえ私の言葉遣いが少し乱暴だったり、お客様に対して馴れ馴れしすぎたりしても、正面切って「社長、今の言い方は失礼ですよ!」と注意してくれる人は、社内にはもう誰もいません。

皆が私の顔色を伺い、私のやり方を肯定してくれる。 そんな環境に甘んじているうちに、「自分は営業の達人だ」という大きな勘違いが生まれていました。

「話しやすさ」という言葉を「認められた」と思っていた

お客様がおっしゃっていた「社長さんは話しやすい」という言葉。 私はそれを「自分の人間力が認められた」と好意的に解釈しすぎていました。しかし、今思えばそれは、プロとしての規律を緩めていいという許可証ではありませんでした。

  • 「〜っすね」という、微妙に崩れた語尾
  • 「大丈夫、大丈夫!」という、根拠のない断定
  • 「〇〇さんなら分かってくれますよね」という、甘えを含んだ同意の強制

これらはすべて親しみやすさではなく、単なる「プロ意識の欠如」です。 お客様が求めているのは友達のような話し相手ではなく、「資産を託すに値する専門家」だったはず。
私は自分の経験にあぐらをかき、その大前提を忘れていました。

誰にも言えない、この悔しさを糧に

実を言うと、この「契約破談の本当の理由」が私の言葉遣いにあったことは、まだ社員の誰にも話せていません。

「急な事情で白紙になった」とだけ伝えたときのスタッフたちの残念そうな顔が、忘れられません。
彼らが一生懸命準備してくれた時間を私の未熟さで台無しにした……その事実は、社長としての私のプライドを大きく傷つけました。

でも、ベテランになればなるほど自分の言葉を疑わなければならない。
「自分はもう完成されている」と思った瞬間が、一番の危機。8名の社員に背中を見せる立場として、いつか笑ってこの話を彼らに共有できる日が来るまで、この苦い教訓を自分一人の胸に深く刻み、これまで以上に「一言」を大切にしていこうと決めています。

最後に…

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